山の神の天罰
どんな伝承か
たいそう猟が好きで上手な人がいた。大物が好きで、鳥はあまり撃たず猪や鹿を狙った。猪を獲るにはどうしても富士の裾野へ行き、雪の中に小屋をつくって一月も頑張らねば取れない。そうして猪を取りに行ったところ、大きなやつにぶつかったが撃ち損ない、急所を外したので猪が向かってきた。鉄砲で受け止めて押さえたものの力負けしそうになり、その時「これで猪はおしまいにするから、ぜひ猪に勝たせてくれ」と山の神に祈った。おかげでとうとう勝った。ところがよい雪が降ると山の神との約束は棚上げになって出かけてしまい、帰らないので探しに行くと、雪の中で立ち往生していた。それきりであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告・民俗調査報告)
『向原の民俗 上(民俗調査報告第9号・第10号)』第IX章口承文芸所収の昔話・伝説・怪異。山梨県南都留郡の向原・明見地区に伝わる口承を採録する。