寝太り・飯を食う怪物(北越奇談)
どんな伝承か
『北越奇談』に載る話。七か村の農夫某が、秋の一夜、家族が寝静まってから灯の下で縄をなっていた。夜も更けた頃、バラバラと雨が窓を打ち、辺りが急に寂しくなったので、農夫は縄をなうのをやめて寝てしまった。翌朝早く起きて家の周りを見ると、一面に青や黄の見慣れない木の葉が箕に一杯になるほど散らばっていた。やがて主婦が飯を炊いて釜のふたを取ると、中は空っぽ。誰も食べていないのに、覆いをして開かないようにしてもたちまち食い尽くされる。数日続いたため家族一同がひと月ほどよそへ移り、空き家にすると、この怪異は消滅した。寝太りのお化けの仕業だろうという。
原典より
結婚当初は、かれんでやさしい新妻も、いつとはなしに年増になりますとぶくぶく太り出し、動作は鈍くなって、働くのもおっくうになり、毎日ごろごろして、寝てはものばかり食っている、そういう女の姿を情けなく思って眺めているうちに、…—— お化けと幽霊(大高興・昭和53年(1978年)8月5日発行・北の街社(青森市)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・昭和53年(1978年)8月5日発行・北の街社(青森市))
青森市在住の医師・大高興が昭和53年に北の街社から刊行した、お化け・幽霊・心霊現象の総合啓蒙書。