事例23:正月二日の伐り初めにミヅクサ
どんな伝承か
新潟県中頸城郡吉川町(現・上越市吉川区)では、正月二日の伐り初めにミヅクサ・ヌルデを伐ってきた。土地には次の笑話が伝わる。貧乏な親父が焚き物に困り、山から伐ってきた生木を燃やしていると、天井にいた貧乏神が煙いからそんなものを燃やすなという。何が嫌いかと問われて金に困っていると答えると、貧乏神は千両箱をぶつけるぞといい、いぶすたびに千両箱を持って来て投げてよこしたので、親父はどんどんいぶして帰してやったという。そこで一月十五日には伐ってきたヌルデをいぶして粥を煮る。当地では同じ日にヌルデの呪物を門口に置く風習もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・昭和(1988))
民俗学者・佐々木勝が全国の民俗調査をもとに厄除け・厄払いの習俗を日本人の霊魂観から論じた研究書(昭和六十三年)。祖霊信仰・霊魂信仰・厄神信仰を背景に、防塞系呪術(防御型・鎮送型・攻撃型・潔斎型)と祭祀系呪術(供物型・奉迎型)に呪術を類型化する。本文は〔事例〕番号付きで全国各地の具体的習俗を多数収める。