病者が集まった熊野の湯の峰
どんな伝承か
日本人は火と水の力を併せ持つ湯にも清めの力を認めてきた、という論のなかで触れられる。湯の力を重んじた儀礼の代表は湯立て神事で、三河の花祭や長野南部の霜月祭でも湯を立て、その湯で村や家、一人ひとりの穢れを清める。中世の後期になると、湯の持つ再生と浄化の力への信仰がとりわけ盛んになり、宗教者から施される湯を浴びれば治らない病からも救われるとされた。そのため熊野本宮の湯の峰には多くの病人が集まったという。背景には、各地の温泉が実際に効いたという経験があったとみられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦・1990年代~2000年代推定)