飴を買う女が湧かせた麹屋町の幽霊井戸
どんな伝承か
長崎の麹屋町の角に飴屋があった。ある夏の夜、白っぽい浴衣姿の女が足音もなく店先に立ち、陰気な声で一文ぶんの飴を求め、蒼ざめた手から一文銭を差し出した。女は毎晩きまった時刻に現れ、店の者は背筋が冷えたという。不審に思った若者が跡をつけると、女は伊良林町の光源寺の門前でふっと消え、墓地から赤子の泣き声が起こった。寺に駆け込んで墓を掘り返すと、先ごろ葬ったばかりの死んだ女の腹から子が生まれていた。当時この町は水に乏しかったが、やがて女の霊が飴屋の主人の枕辺に立ち、礼に水を出そうと告げる。そうして湧いたのが麹屋町の幽霊井戸だと伝えられている。
原典より
むかし、長崎市麹屋町の角に飴屋があった。—— 日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。