送り犬
どんな伝承か
明治の初年頃、小池忠衛門は中馬追いを業として、谷戸村と信州上諏訪の間を往来していた。ある日、いつものように米を積んで上諏訪から帰る途中、立沢まで来ると秋の日はとっぷり暮れてしまった。花戸原にさしかかると、名物の送り犬につかれた。賽の河原も淋しく過ぎ、小荒間の人家が近くなったので安心して後ろを見ると犬はいない。ところが小荒間の村屋を出外れると、また山犬がついて来た。谷戸村大芦の入口、鳩田の橋のたもとで「ごくろうよう」と言うと、犬は姿を隠した。この山犬は人が転ぶと噛みつくというので、中馬追いは腰に沓切りという小さい鎌を忘れなかった。火を見ると山犬はすぐ逃げたそうだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。