送り犬
どんな伝承か
昔、熱見村赤羽根のあるおじいさんが、諏訪からの帰りに棒道を通った。夕闇が迫ると、どこからともなく多くの山犬が現れ、後になり先になりつきまとった。中の一匹が後ろから駆けて来て、高跳びのように頭上を跳び越えた。ちょんまげに爪をかけて引き倒すつもりらしい。倒れれば飛びつかれると知っていたので、おじいさんはまげを解き、髪を振り乱してやっと西之割まで帰り着いたという。秋の彼岸頃に奥山へ草刈りに行くと、たいてい送り犬がついて来た。倒れると飛びつくので、つまずく時にも必ず「どっこいしょ」と声をかけ、村の近くで「ありがとうよ」といえば離れたという。煙草の火を見せれば逃げるとも伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。