精進へ急ぐ馬方を送る山犬
どんな伝承か
夏でも本栖に着くころには日が落ち、笈の峠まで来ると先の見えないほどの闇になる。馬方は松明を振りながら湖のほとりを精進へ急いだ。ふと馬が首を袖の下へ差し入れてくるので、山犬が後をつけていると悟ったという。もっとも山犬は振り回される火を嫌ったらしい。精進の村が近づいたところで、ご苦労だった、もう家へ帰れ、と声をかけて礼を述べると、山犬はどこかへ去ったと伝わる。土地ではこれを送り狼と呼んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。