火事を知らせた老狐と火消稲荷
どんな伝承か
三宝寺の境内の北西隅、石神井城址の土塁と思われる高みに小さな稲荷の祠があり、火消稲荷と呼ばれている。むかし住職が修法をしていると老狐が現れ、しきりに叫びながら寺の周りを三度四度と走り回った。人々は不審に思い、ただ神慮を祈った。ところがその夜、寺から火が出る。皆が用心していたためすぐに消し止められ、大事には至らなかった。前日の狐の振る舞いは災いの知らせだったと思い当たり、以来この祠は火消稲荷と呼ばれて信仰を集めた。神体は妙石で、折れた下半分は下石神井北原の石神社に祀られているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。