淵の川太郎が贈った銅印
どんな伝承か
川人足の親方であった太治郎兵衛の寝所を、夜ごと叩く者がいた。正体は児屋源太郎と名のる川太郎で、真禅寺の観音堂の下、崖に臨む淵を住処にしていたという。その淵の底に光を放つ物が沈んでおり、恐ろしくて落ち着いて棲めないから、取り除いてほしいと願い出たのである。太治郎兵衛は、今後は人にも牛馬にも悪戯をしないと誓わせたうえで、淵を調べる約束をした。川人足の林又三郎が潜り、槍の鉾先を見つけ出す。後日、川太郎は礼にコリという鳥の卵と銅印を差し出した。銅印は一寸五分角に竜の飾りのついた見事なもので、これさえあれば日本中の川太郎に騙されることがないという。水難除けとして、今も真禅寺の宝物に伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。