改宗を詫びに来た惣八の亡魂
どんな伝承か
江戸浅草の元鳥越明神の前に神主長屋があり、これを差配する惣八という男がいた。生まれつき体が弱く、薬を手放したことがない。ある日、惣八は菩提寺である浅草小揚町の浄土宗浄念寺を訪れ、病が治らないので日蓮宗に改めたい、ただし夫婦だけのことで子供は浄土宗のままにすると、申し訳なさそうに願い出た。住持は快く承知した。文政七年の大晦日の昼下がり、見る影もなくやつれた惣八がふたたび寺を訪れ、改宗しても良くならず黄泉へ赴くことになった、先の願いは取り下げるので従来どおり葬ってほしいと述べて帰る。住持が小僧を走らせると、惣八は前夜すでに死んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。