磐代の結び松と有間皇子の魂鳥
どんな伝承か
人が死ぬとその魂は鳥の姿になって飛び去るという見方は古くからあった。『万葉集』の山上憶良の歌「鳥翔成あり通ひつつ見らめども人こそ知らね松は知るらん」もその一つである。これは、謀反の疑いで死を賜った有間皇子が、磐代の浜の松の枝を結んで無事を祈った歌に和して詠まれたもので、亡くなった皇子の魂を主題としている。冒頭の「鳥翔成」の読み方はツバサナスともトブトリナスともアマガケルとも言われて定まらないが、いずれにせよ皇子の魂が鳥と化したものと見ていたことが読み取れる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の博物誌――原始生命観の体系(碓井益雄・碓水益雄・民俗学・現代(著述))
碓水益雄『霊魂の博物誌―原始生命観の体系』。人類が肉体に宿る霊魂をどう捉えてきたかを、言葉・自然・人体の各面から博物誌的に体系化する。序章で生気論と機械論の生命論の流れを概観し、第一章で霊魂観念の成立(肉体に宿る霊魂、人間創造と気息=旧約創世記の息吹き、イキモノ=息物、気と魂)を論じる。