鹿嶋の神が人に憑く
どんな伝承か
平安時代の正史『日本文徳天皇実録』には、斉衡三年(八五六)十二月二十九日、鹿嶋の地に神が降臨し、人に憑いて言葉を託したという記事が残されている。同じ時代には各地で神霊が人に憑いて託宣を下したという記録が数多く見られ、この鹿嶋の一件もそうした神憑りの事例のひとつとして正史に書きとどめられたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史(山折哲雄・山折哲雄・宗教学・昭和(1976))
宗教学者・山折哲雄『日本人の霊魂観―鎮魂と禁欲の精神史』(1976年)。日本人の霊魂観念を、遊離魂・天皇霊・憑霊・鎮魂という主題で歴史的・象徴論的に考察する。序章で問題と方向を示し、第一章『遊離魂と殯』では『日本霊異記』にあらわれた霊肉の課題(魂が一日に千里をゆく遊離魂と、死者を仮安置する殯)を論じる。第二章『天皇霊と呪師』では玉躰加持の象徴儀礼を、霊魂は肉体の形相(封蠟と印型)とするアリストテレス的議論を引きつつ分析する。