寛永の鹿島躍と疫病除け
どんな伝承か
常陸鹿島の弥勒の船の踊歌は、いわゆる弥勒二年の私年号と関係のある現象だろうと説かれたことがある。後の改作が想像されるにもかかわらず、今伝わっている辞句も表現がいかにも素朴で、室町期の気分が感じられる。また一方には、寛永の頃に諸国に疫病の災いがあり、鹿島の神輿を渡してその患いを除かんことを祈った際に、この躍を踊ったのが始めだという言い伝えもあるというから、少なくとも近年の流行でないだけは判る。この私年号の唱え始めが鹿島だという証拠はまだ見当たらないが、常陸一国の文書の中にも二三の実例はあり、ここが年号使用圏の東の端であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。