屁ひり嫁
どんな伝承か
向原上組の舟久保兵部右衛門(大正四年生)が語った笑話。おならが止まらない癖を持つ嫁が、客の泊まる晩を恐れて紙で尻に栓をした。その夜、名主が村の年貢の勘定で置いた銭をねらって泥棒が忍び込み、誰も気づかなかった。畑仕事で疲れた嫁が寝返りを打った拍子に栓が半分外れ、ブテブテと鳴り続けた。泥棒は「ぶたれてたまるか」と逃げ出し、家は難を逃れた。のちに癖を打ち明けた嫁は、おかげで助かったのだから遠慮することはないと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告・民俗調査報告)
『向原の民俗 下(民俗調査報告第9号・第10号)』所収の昔話。山梨県南都留郡の向原・明見地区に伝わる昔話を、関敬吾分類の番号順に採録する。十二支の由来(猫が入らぬ訳)、犬の脚、針と糸で正体をたどる蛇聟入(環型)や蛇息子の異類譚、桃の子太郎、狼報恩、頭の口で食う食わず女房(鬼女房)と菖蒲・蓬での脱出、炬燵入り・旅学問(朱膳朱椀)・鯛の煎じ滓・屁ひり嫁などの笑話を収める。