雪が続き無理に葬式を出した三郎丸村の葬列で
どんな伝承か
『北越雪譜』の『北高和尚』は、越後国雲洞村雲洞庵にまつわる話である。この寺に近い三郎丸村の農家に死者が出たが、折しも冬の雪が降りつづき吹雪もやまなかったので、三、四日は晴れを待って葬式をのばした。それでも晴れないので強いていとなみをなし、旦那寺なれば北高和尚を迎えて棺を出し、親族はもとより人々も蓑笠で雪をしのぎながら送っていった。その雪途も半ばに至ったとき、猛風がにわかに起こって黒雲が空に布満ち、闇夜のようになる。いずくともなく火の玉が飛来して棺の上に覆いかかり、火の中から尾がふたまたの大猫が牙を鳴らして棺を奪おうとしたので、人々は棺を捨てて逃げまどったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)