巻機山の女に負われた弥右衛門
どんな伝承か
木六村の村長だった弥右衛門は、狩に出て奥へ奥へと分け入るうち道を見失った。日が暮れて途方に暮れていると、遠くに灯が見える。近づくと粗末な一軒家で、機を巻く音がし、中には美しい女がいた。一夜の宿を頼むと、ここは世の人の来る所ではない、村まで背負って行くから目を閉じていてほしいという。言われるまま目を閉じて背に負われると、女は飛ぶように駆け出した。いまどのあたりかと気になった弥右衛門が禁を破って左の目をそっと開けたとたん、その目はつぶれてしまう。家に着くと女は消えていた。上越国境の巻機山の名は、この女が機を巻いていたことに由来すると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。