凶宅の組格子に並んだ無数の顔
どんな伝承か
『今昔物語集』巻二十七の第三十一話「三善清行宰相、家渡語」は、五条堀川のほとりに建つ荒れ果てた凶宅を舞台にする。長く人の住まないその家を買い取った清行が夜半に眠っていると、組格子の天井で何かがごそごそと動いた。見上げると、格子の升目の一つ一つに人の顔があり、しかもそれぞれ違う顔をしていた。清行が騒がずにじっとしていると、顔はみな消え失せたという。同じ話には、身の丈三尺ほどの気高い女が現れ、扇を取りのけると鼻が真赤で、口の両脇から四、五寸ほどの銀の牙が食い違いに突き出していたという鬼女も登場する。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)