国電で名刺を出した勧誘の女
どんな伝承か
ある寒い晩、著者は用があって国分寺駅まで出かけ、帰りの国電で信濃町へ戻る途中のことだった。高円寺から乗ってきた品のよい奥さま風の女が、がら空きの車内でわざわざ隣に座り、こちらの顔をじろじろ見る。やがて女は帰りが遅いことをいたわる調子で話しかけ、子どもの有無を尋ね、悩みはないかと水を向けてきた。帯の間から出したのは霊友会支部の名刺で、女は笹沼みね子と名のる。著者が知り合いの婦人に探らせたところ、笹沼の家は港区のヒノ木町にあり、この婦人は入会金百円と月会費三十円を払って帰ってきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・昭和中期(1940年代~1950年代推定))
幼少期の地獄極楽のぞきからくり(私の心霊術)/心霊術と降霊の実演/作家長田幹彦の心霊体験/交霊と幽霊との接触/明治〜昭和の心霊文化