四ツ谷駅のホームで声を失う
どんな伝承か
作家の永倉万治は、四十一歳の誕生日を迎えて間もなく脳溢血で倒れた。その日は四谷の放送局の生番組に出る予定で、午前十時ごろ中央線の四ツ谷駅で降りようと席を立った。その瞬間、右の肩と足からがきっという音が聞こえた気がして体がよろけ、ホームへ押し出されるように倒れた。意識はあり、周りの声も靴も空も見えるのに、声だけが出ない。頭の中に言葉はあるのに口から出てこないのだった。通りかかった中年の男が救急車を呼んでくれ、十数分ほど横になっていた。運ばれた病院で左の大脳基底核の出血と診断され、翌朝に四時間の手術を受けた。意識の戻らない日々が続き、その間に臨死体験をしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成)
立花隆『証言・臨死体験』を証言者(人物)単位で収録。安田伸・水上勉・邦光史郎・志賀信夫・前田忠明・佐野三治・向井承子・北林谷栄・永倉万治・彗星探索家木内鶴彦・元プロレスラー大仁田厚・羽仁進ら著名人や市井の人々が語る臨死体験(体外離脱・トンネル・光・お花畑・三途の川・死者との再会・人生回顧と蘇生)を、各証言の冒頭に【日付】【場所】【人物】【状況】マーカー付きで収録。臨死体験を脳科学と心霊の両面から検証した立花隆の証言集。