伝通院の千姫を見に行った五人
どんな伝承か
小石川の伝通院に千姫の幽霊が出るという噂を聞き、近所の飲み仲間五人ほどで見物に出かけた。落語家仲間の春風亭愛橋も加わっていた。夜の二時ごろまで飲み歩いたあと、寺の塀を乗り越えて忍び込む。境内は真っ暗で、歩くうちに人数が一人増えているような気がしたという。千姫の墓のそばで白いものが動くのを見たと言っていた愛橋は、それから原因の分からない高熱を出し、三か月も入院した。幽霊を見た人の半分は不幸な目に遭うものらしい、と語り手は結んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。