鳶の羽に乘て飛行
どんな伝承か
文禄年間、安芸国西条町の禅宗のある寺に、地方で名高い東堂和尚がいた。ある日、仏前で坐禅をしていると、十六、七歳の眉目清らかな小僧がどこからともなく来て前に蹲った。近いところの者だが尋ねたいことがあると言い、以後毎日のように来て法問を交わし懇意になった。六月七日の早天、小僧は都の祇園会を見たことがあるかと問い、見たいなら今から供をしようと勧めた。和尚がためらうと、鳶の翼を一枚袂から取り出し、これに乗れば不思議の飛行力があると言う。足を乗せると体は空中に舞い上がり、ほどなく京の愛宕山の杉の枝に着いたという。
原典より
文禄年間、安芸国西条町の禅宗某寺、地方に有名の東堂和尚と云ふがあつて、或る日仏前に坐禅をして居ると、十六七歳の眉目清らかな小僧がどこからとも無く来て、和尚の前へ蹲踞してゐた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))