厠から神隱し
どんな伝承か
寛延または宝暦年間、近江八幡の裕福な商人松前屋市兵衛は妻を娶り穏やかに暮らしていた。ある夜更け、市兵衛は下女に灯りを持たせて厠へ行ったまま戻らず、姿を消してしまう。妻は入夫を迎えて家を継がせたが、二十年ほど後、厠から人を呼ぶ声がして行くと、失踪時のままの姿で市兵衛が座っていた。食事を与えると衣服が蝶のように崩れ散って裸になり、その後市兵衛は病や打撲を癒す禁厭を行い霊験を見せたという。八幡の眼科医が実見して語った話である。
原典より
寛延又は寶曆年間のこと、近江八幡の有徳人松前屋市兵衛が妻を娶て平和な家庭をつくって居たが、或る夜更けて厠へ行くのに、常例により、下女に燈を持たせて行き、隨分長雪隠なので、女房が疑念の嫉妬を愛し、自分も厠へ行いて見ると、戸…—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))