瓢箪から壹匁札の出る話
どんな伝承か
よく晴れた午下がり、在所の東の方から手に手に笹に瓢箪を吊した一隊が繰り込んで来て、二三丁先の辻堂まで来ると俄に湧き立ち、辻堂を回り回って踊り始めた。ところがその一隊で、どこからともなく三十、五十ほどの一匁札がはらはらと地にこぼれた。皆は我先に拾って見せ合い、銭を持っている者はいないと口々に否定して首をひねる。しばらくして胡麻塩頭の老人が、昔から瓢箪から駒が出るということがある、自分たちは瓢箪を持っている、この頃のことだから瓢箪から銭くらい出そうなものだ、と言ったという。
原典より
大空の青さが血潮に泌みこむかと思はれるほど、素晴しく晴れ渡った午下りのことだつた。—— 阿波えゝぢやないか(山口吉一・民俗・幕末世相史・昭和(対象は幕末)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波えゝぢやないか(山口吉一・民俗・幕末世相史・昭和(対象は幕末))
概観篇では御降り(御札降り)に関する騒擾、伊勢神宮への御蔭参り・抜参りを慶安・宝永・明和・文政・慶應と時代別にたどり、慶應のええじゃないか、阿波のええじゃないかへと展開。幕末阿波(徳島)の御札降り・群集乱舞・世直し的民衆運動を、各事例の冒頭に【日付】【場所】【人物】【状況】マーカー付きで網羅した民俗・世相史。