尾道出張日記の御札天下り
どんな伝承か
慶応三年(一八六七)十二月三日、芸藩の会計係加藤某が記した「尾道出張日記」には、尾道の町で天から大神宮の御守り札が降ったとの噂が広まり、町中が大騒ぎになったとある。芸妓や太鼓・三味線を交えた狂言騒ぎが繰り広げられ、札の降った家では酒を振る舞い、大きな家では四斗樽まで施したという。元貴族院議員友松山荘の『伝家録』にも、商家の子女や歌妓が男女の姿を入れ替えるなど奇抜な仮装で踊り歩いた様子が記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
尾道市史 -新修-第2巻(尾道市史・20世紀後半(推定))
本書は広島県の幕末社会に発生した一連の集団的異常現象を記録した歴史資料である。1864年11月から1865年1月にかけて、尾道と竹原を中心に発生した「お札降り」現象と「ええじゃないか踊り」は、単なる超自然現象ではなく、飢饉による経済的窮迫と社会秩序の崩壊を背景とした民衆心理の集団的狂乱であった。尾道での空からの御札降下、竹原での諸神札降臨は、やがて集団仮装踊りへ転化し、最終的には翌月の打ちこわし暴動へと発展した。