霧の中で一人ふえた四人の隊列
どんな伝承か
霧に巻かれた裏銀座の稜線でのことである。四人のパーティーは疲れと空腹で口も利かず、黙々と歩いていた。最後尾を行く男がふと数えると、自分の前に四人の背中がある。自分を入れれば五人になる勘定だ。目をこすっても四人。すれ違ったパーティーも追い越したパーティーもなかったはずで、先頭の男が誰なのか分からない。声をかけそびれたまま急斜面を下り、双六池の西にある双六小屋へ着くと、先頭にいたはずの男の姿がない。敷居をまたいで真っ先に入るのを確かに見たのに、である。その夜、小屋番は、前の年この近くで五人組のひとりが道に迷って凍死したと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。