精霊田の群集
どんな伝承か
山案内人の上牧太郎は、麓の岐阜県大野郡朝日村から乗鞍登山の青屋口を独力で開いてきた老人で、その夜も一人で千町ヶ原の山小屋に横になっていた。人声に目を覚まして小屋を出ると、立ちこめていた霧が掃いたように消え、千町ヶ原の沼が上弦の月に青白く光り、数十人の白かたびら姿の男女が争って沼の水を飲んでいた。声をかけると一人が振り返り、伸び放題の髪の間から両眼が真赤に燃え、額には白い三角の頭巾を締めていた。念仏を唱えて我に返ると姿は消え、霧が戻っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。