野友(2)
どんな伝承か
高知県安芸郡北川村野友の話。昔は人口が少なく樹木が繁り、人を化かす狸がいた。北川村柏木のおみさきの古狸もその一つで、人々に恐れられていた。野友には前田百馬という、たいへん度胸のよい人が住んでいた。駄賃稼ぎをしていた百馬がおみさきを通るのは、まだ夜も明けない暗いうちのことだった。ある時、馬を引いた百馬が通りかかると、三つ目の大入道が神社の鳥居をまたいで現れ、そばへやって来た。たいていの者なら腰を抜かすところだが、百馬はびくともせず声をかけ、馬の手綱を引いてそのまま通り過ぎた。以来、古狸も百馬を化かすのをやめたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。