柏木
どんな伝承か
大正の頃の話。北川村柏木の川口栄助は役場勤めで、柏木から役場までおよそ四キロを朝夕歩いていた。ある年の暮れ、夜遅くなっても帰らないので、家の者や近所の者が松明を持って探しに行くと、柏木の巻の道路まで来たところで「サァ来い、サッ来い」という声がする。行ってみると、道の脇の大きな岩めがけて頭からぶつかっては倒れ、起き上がってはぶつかっているのが栄助で、頭から血まみれになっていた。皆でやっと取り押さえて連れ帰ると、小坊主が相撲を取ろうと言うから、負けるものかとやっていたのだと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。