前浜
どんな伝承か
明治の頃、南国市前浜の久保に田中行馬という大男がいた。草相撲の大関で、しこ名を「浜千鳥」といった。ある夏の夕暮れ、田の仕事をすませた浜千鳥が正興寺の橋のたもとで川に入って体を洗っていると、エンコウが川から首を出して息比べを挑んできた。浜千鳥が勝つと、今度は相撲だというので、日が暮れて涼しくなったら浜へ来いと約した。浜で組み合うと、五番六番と重ねるうちエンコウは頭の皿が乾き、砂と塩水で皿にひびが入って動けなくなり、負けを認めた。浜千鳥が唾を皿に塗ってやると、痛がって正興寺の淵へ逃げ帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。