名を告げてさす死者への水盃
どんな伝承か
高知県では、棺を家から出す直前に、近しい者が死者へ水の盃をさす風が報じられている。安芸郡北川村の和田では、近親の者が死者に盃をさしたうえで自分の名を告げ、それから飲んだ。著者は、死者にさしたその盃の水をそのまま飲んだのだろうと見ている。同じ県の土佐清水市布和では、家族が味噌を肴に水盃をかわし、その水を死者の口につけてから永の別れとした。水を分かつ所作が、この世との縁を切る意味を帯びていたらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。