怪異の記録
どんな伝承か
岐阜県恵那郡福岡町の鎌田惺和の報告。昭和一〇年頃、父は毎年秋になるとカスミ網を張って、ツグミ、アトリ、シメなどの渡り鳥を捕ることを、趣味を兼ねた仕事にしていた。鳥を捕る小屋は家から一〇キロメートルも離れた山の中に建て、もちろん泊まり込みである。一人で泊まっていると、毎晩夜半になると決まって木を切る音が聞こえてくる。こんな夜更けにと小屋の外に出てみると、音はぴたりと止む。布団に入って寝ようとすると、また木を切る音がする。或る日、山に登ってきた友だちにその話をすると、「そりゃあ狸が来たとこだ」と言われた。鳥屋を建てるとき木を切り整地をするので、その抗議に狸が来たのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。