盆に鼻歌を残して去った夫
どんな伝承か
盆に夫の墓参りをすませた女の話。寒い日で、家に戻ってテレビを眺めながらうとうとしていると、いつの間にか夫がそばに座っていた。普段着の着物姿である。女が、今いる所はどんな場所かと尋ねると、夫は機嫌のよいときの口ぶりで、よい所だと答えた。もう帰るのかと重ねて聞くと生返事をし、朝だ朝だ、朝日が昇る、と軽く鼻歌を口ずさみながら裏口から出て行ったという。坂下のあたりでは死んだ者は物を言わないと言い伝えるのに、夫ははっきりしゃべった。女は不思議でならないと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。