これはな、昭和一四、五年頃の夜水にまつわる話じゃ
どんな伝承か
徳島県三好郡池田町の笹山治の話。昭和一四、五年頃の夜水にまつわる話である。谷から田に水を引いていたが、雨の降らないときは水の奪い合いになるので、夜こっそり水を引きに行く。人に見られては都合が悪いので提灯をつけずに行くと、うっかりハメ(まむし)に噛まれて危ない。そんな時に狸が登場する。狸が火をつけ、一緒に行って助けてくれるのである。ところが動物をいじめるような意地の悪い人が狸の火についてゆくと、山の中へどんどん入っていき、いくら行っても谷まで着かない。気がつくととんでもない山奥にいるのだという。だから動物をいじめてはいけない、どんな動物でもかわいがっておかねばならないという話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。