摂津東多田村のうなぎ縄手の狸火
どんな伝承か
摂州川辺郡東多田村のうなぎ縄手に、狸火という燐火がある。この火は人の形を現し、あるときは牛を牽いて火を携えて行くさまをなす。これを本当の人間と思ってその火を乞い、煙草を吸い話などをして行くが、尋常の人と変わるところがない。かつて害をなすことはなく、雨の夜に折々出るという。世の人はこれを狸火といっている。そのほか二階堂村の二恨坊火、別府村の虎の宮の火など、所々に折々出るものである。怪しんでも怪しむに足りない、と『摂陽落穂集』は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。