堺(2)
どんな伝承か
長野県下水内郡栄村堺の山田一義の話。昔は刺草(いらくさ)が大事にされ、丈夫なので猟師はカンジキの紐に使い、マニラロープができるまで毎年採っていた。採るのは一〇月の「山の口」と決めた日で、早く起きてみなで採りに行った。白沢の下の沢の岩の下一帯によい刺草があり、屋敷ではそこへ採りに行った。まだ朝の暗いうちに出かけると、対岸の上ノ原でカヤがボウボウ燃えていた。屋根に使うカヤを刈って立てておいたのがみな燃え、まわりに人影が見えて「大騒ぎして、みんな消しているわ」などと言いながら山へ行った。ところが夜が明けて見ると、カヤの焼けた跡もなく、カヤがあったわけでもなかった。ムジナのいたずらだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。