秋山郷 藁蒲団に寝る山家の夜
どんな伝承か
鈴木牧之の『北越雪譜』の中には、信州秋山の山家の夜の光景が絵に描かれている。藁で造った一人用二人用の床の中に、夫婦親子が首から下を差し入れて、囲炉裏の四方にごろごろと寝ているのである。珍しくもまた可笑しい風俗には相違ないが、世間を知らぬのでこの辺ばかりが永らくそのような生活をしていたというだけで、かつては我々一同の祖先も、美女も勇士もこうして藁の中に寝ていた時代があったのだと柳田は説く。木綿が入って百年もたたぬうちに、藁のトコは畳の名に変わった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。