和山(2)
どんな伝承か
長野県下水内郡栄村和山の話。和山から一里半ほど奥へ入ると、刺草窪というところがある。昔は秋の山の口に官沢(国有林)を払い下げてもらい、そこで刺草をはいできて、その繊維で縮を織って着たものだという。集落の捨松さんがそこへ行き、青木の粗朶を折ってぐるりと立てた小屋の中で火を燃し、その明かりで刺草の皮をはいでいた。するとハハァハァハァと笑い声がして、高い山をビンビン響かせた。恐ろしいので声のする方へ鎌の抜身を向けていたが、そうするとなおさら笑う。とうとう恐ろしくなり、夜のしらしら明けに家へ逃げ帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。