この辺ではさあ、もしか人が亡くなれば、お寺へツゲに行
どんな伝承か
長野県下水内郡栄村の風習として、人が亡くなると寺への知らせに必ず二人一組で出向いた。四十年ほど前の春、小学校に上がる前の子どもが亡くなり、話者は親類の常松と二人で知らせに出かけた。まだ雪の残るなか、マントを着てわら靴を履き、亡くなった子の枕元で「今日お寺へ行くから一緒に行こう」と呼びかけてから出発した。菩提寺は船山の竜言寺で、上結束から見玉を経て向かった。その晩、寺に泊まっていると、夜十一時ごろ、足の方から何かが押さえてくる感触があり、明け方には亡くなった子が抱きついてくるような手ごたえがあったという。夢だったが、亡くなった子が一緒に寝ていたような気がしたと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。