木曽郡開田村の部落で、冬用の笹を刈るため約十人が山奥に…
どんな伝承か
昔聞いた話だという。長野県木曽郡開田村のある部落で、十人ほどの男たちが冬に備えて馬用の笹を刈るため、山奥に掘っ立て小屋を建てて泊まり込んでいた。遠方のため日帰りでは笹を運びきれず、山にこもって作業をしていたのである。ある夜、一人が用を足しに小屋の外へ出ると、麓の部落の方角が真っ赤に染まって見えた。火事だと思い、大慌てで仲間を起こして下山しかけたところ、途中で赤い光は消え、あたりは元の暗闇に戻ってしまい、方角さえ分からなくなるほどだったという。話者は畑中久松、長妻の記録による。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。