太ったと言われて絶食した猫
どんな伝承か
多摩川で拾ったので多摩と名づけた猫は、もともとよく食べる質だった。近ごろ太ったのではないかと言われた翌日から、ぱたりと何も口にしなくなり、三日で腹がぺちゃんこになる。慌ててちゃんと食べなさいと声をかけると、今度は目の前のものを片端から平らげ、うどんまで食べ尽くしてしまった。この一件が民話の雑誌に載り、掲載誌が送られてきた。ほかの荷物と一緒に卓へ置いておくと、多摩は本の入った袋だけをがさがさやり、早く開けろと鳴き立てる。開いてみれば、自分の話が載っていたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。