隠岐郡の菱蒲という場所で、父親が福井へ向かう道と北分へ…
どんな伝承か
語り手の父親のことである。菱蒲から行くと、福井へ行く道と北分へ来る道とが分かれているところがある。そこで、こちらへ帰ろうと思ってもどうしても福井の方へ入ってしまうので、「これは猫に化かされているのだろうか」と思い、その場に座って煙草を吸った。昔はキセルである。吸っていると東の方が少し明るくなってきたので、そこから立って歩き始めると、自分の方へ帰ることができた。やはり化かされていたのかと思ったが、猫の姿ははっきり見てはいない。父親は肝が太かったのでじっと座っていたが、他の者は化かされて、とんでもないところへ走ったり藪の中へ飛びこんだりしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。