一本松で解けた野辺山のくぼ地の迷い
どんな伝承か
昭和二十年代の半ばのことである。野辺山で萱を刈り、早めに仕事を切り上げて近道で帰ろうとするうちに、あたりが薄暗くなってきた。草の茂ったくぼ地へ入り込むと、どこを歩いても出口が見つからない。方々を巡っても同じで、これは狐に化かされたのだと気づいた。腰を下ろして煙草に火をつけると、次第にあたりが明るくなり、遠くに一本松が見えた。それを目当てにしばらく歩くと細い道へ出た。家に着いたときは、まだ日は高かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。