松尾坂のきつね芝居と油
どんな伝承か
小海原に畑も少なく、松があちこちに立っていたころのことだそうである。場所は字松尾坂である。本村の農夫が朝早く仕事に行くと、あたりが急に暗くなったので向こうを見ると、芝居小屋があって、自分のいちばん好きな、熊谷直実が平敦盛を討つ「一ノ谷嫩軍記」の芝居が掛かっているので、一生懸命に見ていた。気がつくと、きつねに頭の油をすっかりなめられており、時刻はもうお昼をまわっていたということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。