明治一七年の秋、遠山谷和田の石田徳衛門が、村から一キ
どんな伝承か
明治一七年の秋、遠山谷和田の石田徳衛門が、村から一キロほど離れた小池山の山中で犬落しの鹿肉を拾い、家へ持ち帰った。この鹿肉を近所や親類に大盤振舞したまではよかったが、その夜、徳衛門の家の周りで山犬が吠えたり唸ったりして騒ぎ立てた。恐れを感じた徳衛門が翌朝、鹿肉の残りを拾った場所へ返しに行くと、その夜から山犬の騒ぎはやんだ。山犬は犬落しを猫ばばされると、失敬した者の家の周りに来て必ず吠え唸り、返却を迫るものだという。昼のうち山中の見晴らしのよい高みから、食べ残した鹿肉をじっと監視しているからだと言われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。