昭和五十七年八月十四日の夜のこと
どんな伝承か
昭和五十七年八月十四日の夜、飯田市に住む四十七歳の男性が、原因不明の重病を患う中で夢を見た。戦争で死んだ兄が、若くして亡くなったもう一人の兄とともに現れ「こんな家に帰っても居場所がない」と言い残して遠ざかっていった。兄は出征前、村に来た娘に恋をしたが「よそ者」だと両親に反対され、志願兵として送られトラック島で戦死していた。娘は今も独身で看護婦をしているという。八月二十三日に病状が悪化した男性は「きれいな川を見た。カラスがいっぱいいた」と話し、間もなく息を引き取った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。