昭和四十七年の秋の夜、私の勤めていた飯田市浜井場小学
どんな伝承か
昭和四十七年の秋の夜、飯田市浜井場小学校に勤める教師が、同学年の仲間三人と町はずれの大雄寺を訪ねた。住職の子息が教え子だった縁で、道元禅師についての話を聞かせてもらう約束だった。当時、京都花園大学の助教授として印度哲学を講じていた住職の良昱は俳人でもあり、話題も豊富だった。酒食のもてなしを受けるうち、「人が死ぬと魂が知らせに来るというのは本当か」と尋ねると、良昱は「来るんですよ。足音が山門をくぐってこの本堂の前まで来て、ぴたっと止まるんです」と答えた。妻も何度も同じ足音を聞いたといい、次の朝には必ず葬式の知らせが来ると語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。