溺れた娘が渡りかけた川
どんな伝承か
昭和二十三年頃の夏、鶴岡の湯野浜海水浴場で、十三、四歳の少女が溺れて仮死状態に陥った。人工呼吸のかいあって息を吹き返した本人が語ったところによると、気を失っている間、白い砂と青い松の続く美しい道を、あてもなくひとりで歩いていたという。やがて目の前に澄んだ川が現れたので渡ろうとし、水に片足を差し入れた。その瞬間、背後から大きな声で呼び止められ、はっと我に返って、自分が助かったことを知ったのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。