網代で海豚を追い込み叩き殺す
どんな伝承か
伊豆の網代の南の方の海岸でも、小さな入江の口で海豚が沢山はねていた。こうして沖から追い込んで来て、一つ一つ棒で叩き殺し、うんと塩をして山国へ送って売る。海豚の革でよい靴をこしらえて大いに売ろうとした発明家も出たという。杣や木樵なら海の神の使いを信じ得まいが、渡世とはいいながら叩き殺す浦人たちはつらい。海豚は追われると大きな声をして鳴くそうだが、今や彼らは鳴いても何にもならない新発明の世の中に出逢ったのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。