蛍の光の元歌スコットランド民謡
どんな伝承か
三ッ谷の外山家に招かれた夜のことである。路から横に折れて一町ばかり、美しく掃き清めた門前の径を、老いた下部が箒を揮って後じさりしながら帰るのは古式であった。庭を回れば書院の軒は深く、外には五六本の老松がある。食事の後、軒に蚊遣を焚いて家刀自が座に出て款談した。当時、長子の暦郎はまだ幼く、末弟の哲二郎は中学にあった。アイルランドの出のスコット夫人はスコットランドの風物を最も愛すと言い、那須君が、バーンズのロングサインは日本で船人の別れを惜しむ歌と訳され、その余調が蛍の光という唱歌になっていると語った。そこで双方が歌い合った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。